我が子の成長に、胸をなでおろす瞬間はありませんか? できることが増えると、親はつい「もう大丈夫」と思ってしまいがちです。けれど子どもの内側は、思うほど単純ではないのかもしれません。今回は、筆者が感じた「子どもの成長」についてのエピソードをご紹介します。

まさかの沈黙

最後に、先生がやさしく聞きました。

「では最後、お名前教えてください」

「……」

あれ? もう一度。

「お名前は?」

かわりに「5さい!」と元気に答え、「〇月〇日!」と誕生日も言います。でも、名前だけはかたくなに言いません。これには、先生も私も苦笑い。

診察室を出てから聞いてみました。
「どうして、お名前言わなかったの?」

息子は、少し照れた顔で言いました。

「だってさ、恥ずかしいじゃん」

親の“もう大丈夫”は早すぎる?

私は思わず笑ってしまいました。

あんなに堂々と検査を受けていたのに、名前だけはシークレット。できることが増えたからといって、すべてを見せたいわけではないのかもしれません。

私は勝手に「もう大丈夫」と思っていました。でも息子の中には、まだ小さな“照れ”や“こだわり”がある。

成長は、できることが増えるだけではないのだと、この日あらためて教えられました。

親が思う「できるようになった」と、子どもが見せたい姿は、少し違うのかもしれません。そのズレに気づけたことも、この日の小さな収穫でした。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。