カメラが映していた、不都合な真実
相談を受けた園長は、保育室に設置していた事故記録用のカメラデータを確認しました。
数日後、そのデータを見た園長の表情が曇ったのです。
Aさんが子どもたちと直接関わっている時間は、全職員の中で最も少ないこと。
休憩時間は若手の倍近く取っていること。
そして「後輩を指導中」とされていた時間の多くは、別の職員とのおしゃべりで占められていました。
「誰より働いている」というAさんの言葉とは、まるで正反対の現実がそこにありました。
証拠の前に、何も言えなかった主任
園長は証拠をもとに、Aさんを呼び出しました。
カメラに映った事実を淡々と伝えると、Aさんは何も言い返せませんでした。「指導していました」という言葉も、具体的な数字や状況の前では説得力を欠いてしまったのです。
厳重注意を受けたAさんは、その日から自身の働き方と向き合わざるを得ませんでした。
「見える化」が、職場を変えた
翌月から全職員の業務量が一覧化され、担当が公平に割り振られるようになりました。「誰が何をどれだけ持っているか」を透明化したことで、属人的な負担が解消されたのです。Bさんたちは定時に帰れる日が増え、子どもたちと向き合う余裕が生まれました。
「この仕事、やっぱり好きだな」と感じたBさんの笑顔が、久しぶりに保育室に戻ってきたそうです。知人は「声を上げてよかった」と、今でも言っています。
【体験者:30代・女性・保育士、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。