家族の問題は、外から見れば単純でも、当事者にとっては簡単に割り切れないものです。お互いを想うからこそ、どこまで手を差し伸べるべきか、その境界線を見極めるのも難しいですよね。今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。

突きつけた「現実」の重み

私は兄に向き直り、「この家にはもう、あんたが居座る余裕なんてない。来月までに仕事を探すなりして自立の目処を立てないなら、この家を出てもらう。そのために必要な法的手段も辞さない」と告げました。

そして、介護費用で両親の蓄えや年金が消えること、もうこれまでのような暮らしはできないという厳しい現実を数字で突きつけたのです。

私の剣幕に、初めて兄は顔を青くしました。

それから数週間後、兄はスーツを着てハローワークへ。
最初は慣れない外の世界に戸惑っている様子でしたが、現在はビルの警備員として働き、わずかですが家にお金を入れています。

突き放す勇気が、家族の未来を救う

家族だから助け合うのは当然かもしれません。
でも、共倒れになるまで甘やかすのは、本当の愛情ではないと痛感しました。

時には「突き放す」ことが、本人の自立を促し、家族全体の未来を守る手段になることもあるのではないでしょうか。

現在は兄と適切な距離を保つことで、両親の心にも少しずつ平穏が戻ってきたようです。
「優しさ」と「甘やかし」の違いを、両親もようやく理解したのでしょう。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。