これは、友人のA子に聞いた話です。幼い頃から「親が絶対」という環境で育ち、大人になっても続く母親の強い干渉に苦しんでいました。ある出来事をきっかけに、A子は初めて親との距離を見直す決断をします。関係を断つのではなく、自分を守るために選んだ距離が、心の安定を取り戻すきっかけとなったエピソードです。
幼少期から刷り込まれた「母が正解」というルール
物心ついた頃から、わが家のルールはただ一つ、「母の言葉はすべて正しい」ということでした。
母は自分の考えに絶対の自信を持っていて、それに逆らうことは許されませんでした。
家の中では常に母の機嫌が基準で、空気が悪くならないように気を配るのが日常でした。
少しでも意見を言うと、「誰のおかげで生活できていると思っているの! 親に向かってなんて口をきくの!」と責められ、私は何も言えなくなりました。
親とはこういう存在で、子どもは従うものだと、疑うことすらできなかったのです。
大人になっても終わらなかった実母の干渉
社会人になり、結婚して家を出たことで、ようやく解放されると思っていました。
しかし現実は違いました。
母からの連絡は減るどころか増え、返事が遅れるだけで「親を無視するなんて冷たい人間ね」と責められました。
生活の選択、仕事のこと、夫との関係、すべてに口を出されました。
子どもが生まれると干渉はさらに激しくなり、育児方法からしつけまで否定の連続でした。
私がどれだけ努力しても、「あなたは要領が悪い」「だから失敗する」と言われ続け、自信はどんどん削られていきました。
決定的だった心を折る一言
ある日、体調も精神的にも限界の状態で実家を訪れたときのことです。
私の疲れ切った様子を見た母は、心配するどころか「そんな生き方をしているからダメなのよ。もっと私の言う通りにしていれば、こんなことにならなかったのに」と冷たく言いました。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に溜まっていたものが一気に噴き出しました。
(ああ、この人は私を心配しているんじゃない。自分より下の存在として、見下してコントロールしたいだけなんだ……)
親だから、という理由で何を言ってもいいわけではない。その当たり前の事実に、何十年もかけてようやく気づいた瞬間でした。