これは筆者の知人A子さんの体験談です。A子さんはある夜、入院中の祖母が夢に現れたと話してくれました。祖母は幼い頃からA子さんを可愛がってくれた人でした。祖母の病状は決して良くはなく、家族の間にも覚悟の空気が漂っていた頃のこと。そんな中、夢の中の祖母は、どこか拍子抜けするような、妙に気になる言葉を残していきました。しかし、それはとても現実的な伝言だったのではと気づき、A子さんはある場所へと向かうのでした──。

喪服が仕上がって間もなくして、祖母は静かに旅立ちました。A子さんが見舞いに訪れた頃にはすでに会話が難しい状態で、夢の言葉が最後のやりとりになってしまいました。夢の言葉が本当に「お告げ」だったのかは分かりません。ただ、A子さんにとっては祖母らしい愛情の形だったと感じられました。特別な言葉ではなく、いつものおばあちゃんらしい心配や注意こそが、A子さんと祖母との関係そのものだったのでした。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Illustrator:大葉みのり
FTNコラムニスト:江田愉子
団体職員を経て、ライターに転身。男性が管理職、女性多数が一般職の職場にて、女性と仕事、男女平等参画に関する様々な理想と現実に直面し、それを記事にすることを志す。以来、組織に所属する女性を中心にヒアリングを重ね、女性が生きやすい社会生活に関するコラムを執筆中。