定年後、社交ダンス教室を見学したいと言い出した筆者の父。酔うと語る武勇伝を半信半疑で聞いていたのですが、教室で目にしたのは想像を超える光景でした。「頑固親父」の意外な一面を知ったエピソードです。
え? 踊れるやん!
次の瞬間、父はすっと立ち上がり、颯爽とワルツを踊り出したのです。
え? 踊れるやん!
驚きました。あんなに軽やかに動く父は見たことがありません。
背筋が伸び、足運びは軽やか。何十年ぶりとは思えません。
気づけば周りの生徒さんが手を止め、「おぉー」と拍手。
父は照れながらも、どこか誇らしげです。
そしてさらに驚いたことに、女性の生徒さんたちが
「次、お願いしていいですか?」と声をかけ始めました。
……並んでる。
あの自慢話、盛りすぎだと思っていましたが、どうやら全てがウソというわけではなかったようです。
私の知らない父の青春
家では無口で頑固な父。冗談も少なく、少し怖い存在でした。
でもあの日、音楽に合わせて生き生きと踊る姿を見て、父にも、胸を躍らせていた青春があったのだ、と思いました。
少し大げさな武勇伝も、もしかしたら若い日の誇りのかけらなのかもしれません。
父の背景をほんの少しのぞかせてもらった気がしたあの日、「頑固親父」がちょっとだけかっこよく見えました。
【体験者:50代・筆者 回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。