「その後」に続くキャリアへの影響
国立大学の合格を逃したA太さんは、経済的な条件が合った地元の私立文系に進学することになりました。理系としてのキャリアを希望していた彼にとって、学部選択の余地がなかったことは大きな心残りとなりました。
もし、中高が公立であれば、その分の学費などを大学受験や下宿、あるいは浪人して再挑戦するための費用に充てられたかもしれません。
A太は当時の選択を振り返り、「私立での経験は無駄ではなかったが、その後の進路の幅を狭めてしまったのは本末転倒だった」と語っています。また、私立高校は裕福な家庭が多く、希望通りの進路を選んで都会へ出た友人たちとは、生活環境の変化とともに次第に疎遠になっていきました。
現在のA太は、就職活動での苦い経験を経て、現在は東京で働きながら正社員としてステップアップを目指しています。
中学受験がゴールではない
中学受験はお金も労力も膨大にかかるため、1つのゴールとして見做しがちです。しかし、実際にはその先には大学受験があり、人によっては大学院受験、留学など、さらに資金が必要なステージが待っています。
子どもが小学生の段階で将来の適性を完全に見極めるのは困難です。成長に伴い「医者になりたい」「理系に進みたい」「大学院に進学したい」といった高額な学費が必要な夢を抱く可能性も十分にあります。
「私立中学の学費なら払える」という短期的な計算だけでなく、入試の失敗や進路変更といった不測の事態も含め、10年後を見据えた資金計画が欠かせません。
我が子の教育費をどこで、どう使うか。目先の「私立合格」という看板に囚われすぎず、子どもの未来の選択肢を最大限に残しておくことこそが、親に求められる重要な役割ではないでしょうか。
【体験者:30代・会社員男性、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:太田あやこ
大学でジェンダーや女性史を学んだことをきっかけに、専業ライターとして活動中。自身の経験を活かしながら、幅広い情報収集を行い、読者に寄り添うスタイルを貫いている。人生の選択肢を広げるヒントを提供し、日々の悩みに少しでも明るさをもたらせるよう、前向きになれる記事づくりに取り組んでいる。