筆者の話です。
体調不良で寝込んでいた数日、社宅で思いがけない夫の評判を知りました。
外での『優しい夫』と、家での姿。その違いに、私はどう向き合ったのか……。
体調不良で寝込んでいた数日、社宅で思いがけない夫の評判を知りました。
外での『優しい夫』と、家での姿。その違いに、私はどう向き合ったのか……。
噂のひと言
「大丈夫? ご主人、看病のために早く帰ってるって聞いたよ」
洗濯物を取り込んでいるとき、社宅の奥さんにそう声をかけられました。
体調を崩して数日。
ようやく少し動けるようになり、ベランダに出たタイミングでした。
どうしてそのことを知っているのだろうと驚いて尋ねると、夫が会社で「妻が体調不良なので」と伝えて早めに帰宅していたと分かりました。
静かな違和感
確かに、夫は帰りにお弁当を買ってきてくれていました。
袋を置き「無理しないでね」と声もかけてくれます。
けれど、それ以外の家事はそのまま。
食べ終えた容器はテーブルに残り、洗濯物はかごの中。
私は布団に横になったまま、別室から聞こえるゲームの効果音を聞いていました。
一定のリズムで鳴るその音が、やけに大きく感じられました。
『看病』という言葉と、目の前の光景。
彼にとっては「早く帰ること」が看病で、私にとっては「家が回ること」が看病だった。
その距離だけが、静かに広がっていきました。
役割の違い
翌日、廊下で会った奥さんにこう言われました。
「優しいご主人で安心だね」
私は思わず、曖昧に笑うことしかできませんでした。
その夜も、夫は食事を済ませると、何も言わずに別室へ向かいます。
ドアが閉まり、またゲームの音が始まりました。
『看病のために早く帰る夫』
その言葉と、閉じたドア。
どちらが本当の姿なのだろうと、布団の中で天井を見つめました。
彼が外でそう言いたいのであれば、家でもその役割をまっとうしてもらえばいいのだと。