すっきりした空間が心地よいと感じる筆者。物が多い実家に違和感を抱いていましたが、思いがけず母に助けられる出来事がありました。ある一枚のグラタン皿をきっかけに、自分の基準が揺れた夜を振り返ります。
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減らすのが“正解”だと思っていた

私は「最近使っていない」と思った物を、そのまま置いておくのが苦手です。

手放したあとの空間を見ると、家の中が整った気がして、自然と気持ちが落ち着きます。

一方で、まったく違うのが母。実家の台所や収納には、食器や鍋、保存容器が所狭しと並んでいます。

棚の上には保存容器の山、引き出しでは重なった鍋のふたが触れ合う音。明らかに使っていない来客用のティーセットも、保管されていました。

「いつか使うかもしれないから」それが、母の口癖でした。

正直に言えば、私はその光景が苦手。実家を訪れるたび、目に入る物の量の多さに落ち着かず、「減らせばいいのに」と、心の中で思ってしまうのです。

家族からの、献立リクエスト

ある夕方「今日、グラタン食べたい」と、子どもが言いました。

時間にも余裕があり、その気になった私。
材料を買い、手順も頭の中で整えて「よし、作ろう」とキッチンに立った、そのときです。

……グラタン皿が、ない。

思い返せば、数年前。

「最近使っていないし、もう出番はないだろう」と処分していたのです。

まさか、こんな形で必要になるとは……。