親子だからこそ、言えないことってありますよね。筆者の知人Aさんにとって、それは父親のタバコでした。孫の前でも変わらないその習慣が、少しずつ親子の距離を広げていったといいます。今回は、Aさんから聞いたエピソードをご紹介します。
「正直に言うと、お父さんのタバコが原因なの。せめて息子の前では吸わないでほしい」
しかし父は、「昔はみんなタバコを吸っていた。そんなことを気にするなら、もう家に来なくていい!」と声を荒らげました。歩み寄りを拒絶されたショックに、私は受話器を置くしかありませんでした。こうして、私たち親子は疎遠になってしまったのです。
病室で知った、父の後悔
数年後、父が体調を崩し入院したと、母から連絡がありました。病室で再会した父は、以前よりずっと小さく、弱々しく見えました。「孫は元気か?」そう言って差し出されたスマホの待ち受けには、疎遠になる前に撮った、幼い息子の写真が設定されていました。
話をする中で、父が病気をきっかけにタバコをやめていたことを知った私。「残りの人生、後悔したくないからな」その一言に、タバコをめぐる意地よりも、家族との時間を優先したいという父なりの歩み寄りと愛情を感じました。
この日を境に、私たちは少しずつ言葉を交わせるようになりました。人はすぐに変わらなくても、時間や環境の変化で、静かに変わることがある。親子関係も同様で、一度壊れたとしても、ゆっくり修復されることがあるのだと、私はこの経験から実感しました。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。