実家の目の前は消防署。朝夕の点検、大音量のサイレン……。私にとっては、テレビの音さえ聞こえない「ただの騒音」。しかし数年後、見慣れたはずのその景色が劇的な変化を遂げることになって? 友人が体験談を語ってくれました。
「散歩に行こうか」と実家を出た瞬間、息子が「あっ!」と叫んで立ち止まりました。
目の前では、ちょうどはしご車の訓練の真っ最中。ビルの高さを想定してグングン空へ伸びるはしご、きびきび動く消防士さん、点検で「ウーウー!」と唸る赤い車。
私はいつものように素通りしようとしましたが、息子はフェンスに張り付いて動こうとしません。
「ばあばの家、すごいよ! 本物だよ!」と目はキラキラ。興奮して鼻息も荒くなっています。
騒音が「ヒーローの合図」に?
そのとき私はハッとしました。
私にとって「ただの生活音」でしかなかった風景が、息子にとっては「絵本の中のヒーローがいる憧れの世界」なのだと。街の安全を守るために日々繰り返される厳しい訓練が、幼い息子には最高にかっこよく映っていたのです。
それ以来、実家に帰るたび、私と息子はフェンス越しに訓練を眺めるのが日課になりました。
かつては騒がしいと思っていたサイレンの音が、今では息子の喜ぶ顔が見られる「合図」に変わったのです。
今まで当たり前だった景色が、途端に変わった出来事でした。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。