筆者の話です。
午後から出勤する日の、いつも通りの母の気づかい。
夕方の休憩でかけられた一言が、あとから静かに残りました。

豪華やね

午後から出勤し、夕方の休憩。
外へ買いに行こうとしていた同僚に声をかけ「母から持たされたお弁当があるんだけど、もしよかったら一緒にどう?」と聞き、母の作ったごはんを広げました。

アワビの炊き込みご飯に卵焼き、ほうれん草の胡麻和え。
帰ってからも食べられるようにと思ってか、少し多めに入れてくれた手作りのお弁当です。
それを見た同僚が「豪華やね」「お母さんの味って感じやね」と声を上げました。
思わず笑顔が広がり、お裾分けをしながら、そのままみんなで分け合って食べることになったのです。

休憩の一言

そのときは楽しい時間として過ぎていきましたが、今思えば、早朝に用事があったあと、あのごはんを用意するのは簡単なことではなかったはずです。
私が立ち寄る短い時間に合わせて、台所に立つ時間や、詰める手間を、そのときの私は想像していませんでした。

母も施設に入っている今、もう同じように食べることはできません。
それでも、夕方の休憩で言われた「豪華やね」という一言が、今も母の愛情を思い出させてくれます。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。