筆者の父が免許を返納。慣れない電車やバスに悪戦苦闘しながら、いつのまにか母に頼る日々が始まります。立場が少しずつ逆転する中、父の口から意外な一言がこぼれました。
立場が逆転
出かけるときは、いつも母が先頭で、なんだか昔と立場が入れ替わったみたいです。
父は照れた顔で、こう言いました。
「アンタ、すごいんやなぁ。なんでもよう知っとるなぁ」
「俺はアンタがいないと、出かけることもできんわ」
きっと、父なりの精いっぱいの感謝の言葉だったのだと思います。
不器用な「ありがとう」
母は一瞬きょとんとして、それからすぐに、勝ち誇ったような顔で、でもどこかうれしそうに笑いました。
そばにいるのが当たり前になるほど、「ありがとう」も「ごめん」も、つい飲み込んでしまうものです。
それから父は、素直に母に頼るようになり、
「世話になるねえ、ありがとうな」と、照れくさそうにお礼を言うようになりました。
たった一言の「ありがとう」の大切さを、あらためて気づかされた出来事でした。
【体験者:50代・筆者 回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。