筆者の友人B子は「朝は絶対お米を食べさせて」と念押しされたそうで。不思議に思うB子でしたが、そこには時が止まったままの切実な理由があったのです。
ご飯のワケは
「お義母さん、どうしてそんなに朝のご飯を大切にされているんですか?」
すると、義母は少し遠くを見るような目で、ポツリと語り始めました。
「あの子(夫)小学生の頃ね、朝にパンを食べて行くと学校で具合が悪くなっちゃって。保健室から呼び出されることが度々あったのよ。でも、ご飯を食べさせた日は元気に帰ってくる。だから私は、必死だったの」
夫は幼い頃、は体が弱かったのです。パン食だとエネルギーが足りなかったのか、体質的な相性だったのかは定かではありませんが、学校で体調を崩しがちだったようです。
義母は人一倍、息子の健康管理に神経を尖らせていたのでしょう。
試行錯誤の末に「パンじゃなくてご飯」という解決策に行き着いた当時の苦労が、B子にも伝わってきました。
義母の中にある息子の面影
母の深い愛情は、痛いほど伝わりました。
ですが、B子が夫と交際していた頃、夫は一人暮らしで、朝はパンとコーヒーといった軽い朝食のようでしたが、お昼まで元気に仕事をしていました。
「お義母さん、おかげで息子さん今はとても健康体になりましたよ」
B子は義母の愛情の深さを再確認し、心の中でそっと呟きました。
大人になり、体力もついて、パンを食べたからといって倒れるようなことはもうありません。
しかし義母の中では、今でも保健室に迎えに行った当時の弱々しい息子の姿が、鮮明な記憶として残っているのかもしれません。
嫁として「過干渉だな」と感じていたその言葉。けれど、その裏側にあるのは、何十年経っても色褪せない、切実なまでの親心でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:田辺詩織
元医療事務、コールセンター勤務の経験を持つ在宅ワーカー。文学部出身で、文章の力で人々を励ましたいという思いからライターの道へ。自身の出産を機に、育児ブログを立ち上げ、その経験を生かして執筆活動を開始。義実家や夫、ママ友との関係、乳幼児期から中学受験まで多岐にわたる子育ての悩みに寄り添い、読者が前向きになれるような記事を届けている。