希望の事業所
重度知的障害のある長男が、養護学校の高等部を卒業する時期が近づいていました。
私は、長男の進路についてずっと考えており、ある日、その事業所を見つけました。
「知的障害者のための大学のような事業所」
そこでは、スマホの使い方、公共交通機関の利用方法、演劇、ダンス、レポート作成など、様々なスキルを学べます。
「ここなら、長男の可能性を伸ばせるかもしれない」
私は、その事業所のパンフレットを持って、長男の通う養護学校の進路指導担当のW先生に相談に行きました。
「先生、この事業所なのですが、長男は演劇や歌ったり踊ったりすることがとても好きなので、合うと思うんです」
そう言って私は、W先生にパンフレットを見せました。
可能性の否定
W先生は、パンフレットを厳しい表情で見つめました。
「この事業所ですか? 長男くんにはちょっと無理ではないですか?」
「え?」
「だって、長男くん、重度知的障害でしょう? こういう高度なプログラム、ついていけないと思いますね」とW先生は、きっぱりと言いました。
「でも、見学に連れて行ったら、長男も楽しそうにしていたので」
「それは、その場が楽しかっただけでしょう? 続けるのは難しいと思います。もっと現実的な進路を考えた方がいいですよ」
W先生からは、強く否定されてしまいました。
悔しかったですが、長男が見せたあの輝いた目を信じたい気持ちがありました。
「私は長男をこの事業所に通わせたいと思います」
「まあ、お母さんがそう言うなら……でも、すぐに辞めることになると思いますよ」
とW先生は、冷やかに言いました。
笑顔で通う日々
長男は養護学校を卒業して、その事業所に通い始めました。
最初は、私も不安でした。
「本当に、長男についていけるのかな……?」
でも、長男は予想以上に楽しそうで毎日、笑顔で帰ってきます。
通い始めてから、挫けそうな出来事も多々ありましたが、長男なりに一生懸命頑張っている姿がありました。