筆者の話です。人当たりが良くて営業成績は常にトップのH先輩。粘り強い営業スタイルで売り上げを上げていくH先輩は上司からも絶賛されていました。ある日の会議で、H先輩が得意げに語った「成功事例」に会議室の空気が凍りつきます。先輩の営業方法は、果たして称賛に値するものだったのでしょうか……?
H先輩の手腕
パート先のH先輩は、人当たりが良く好感の持てる人物でした。
しかし、その営業スタイルには、危うい側面も潜んでいました。
特に展示販売会の際は、ターゲットを見つけると、その人が購入するまで諦める事なく営業をかけ続けるのです。
「H先輩、すごいですよね。あんなに粘れるなんて」
同僚たちも、H先輩の営業力に感心していました。
そのおかげで、H先輩の営業成績はいつもトップクラスで上司にも可愛がられていました。
上司は「Hさんを見習いなさい。あれが、プロの営業よ」
そう言って会議の度にH先輩を褒めていました。
私も、最初はH先輩を尊敬していましたが、次第に違和感を覚えるようになりました。
「あの営業、ちょっと強引すぎないかな?」
お客様が明らかに嫌な顔をして断っていても、H先輩は諦めません。
何度も何度も話しかけて、最終的には根負けさせるような形で購入させてしまいます。
「まあ、結果を出しているし……私が甘いのかなあ?」
私は、そう思いつつ自分の中にある違和感を抑えていました。
会議室での自慢話
ある日、定例会議が開かれました。
「では、今月の営業成績優秀者のHさんから一言、お願いします」
上司が言うとH先輩は嬉しそうに立ち上がりました。
「はい! 実は、この前すごい事があったんです!」
そう言ってH先輩は、自慢げに話し出しました。
「展示販売会で、他社の製品を買ったお客様がいたんです。でも、私、その人に声をかけてみました。うちの製品にすごく興味を持ってもらえているみたいで」
「へえ、すごいですね」
同僚たちが相槌を打ちます。