買い物には、単なる物の売り買い以上のドラマが隠れています。店員と客とのやりとりを通じて、その人の本質が垣間見えることもあるようです。今回は、筆者の友人が先日実際に見聞きしたエピソードを聞かせてくれました。
早朝の市場で目撃した出来事
先日、新鮮な旬の味覚を求めて、早朝の魚市場へ足を運んだときのことです。
威勢のいい声が飛び交う活気ある雰囲気の中、ある鮮魚店の前で、ひとりの女性客が声を荒げていました。
聞き耳を立ててみると、どうやら店主に対して執拗な値切り交渉を繰り返しているようです。
「これ、昨日も見たわよ。鮮度が落ちてるんだから、あと500円安くしなさいよ」
と、一方的な要求を突きつける女性に、店主は苦笑いしながら
「毎朝仕入れてるから、そんなことないですよ」
と丁寧に返していますが、女性は一歩も引きません。
不穏な空気に、周囲も次第に居たたまれないような、嫌な空気に包まれていきました。
強引な値切り
「まとめて買うから半額にして」「他の店ならもっと負けてくれるわよ」と無理難題を並べ立てる女性に、私も思わず眉をひそめました。
たしかに値切りは市場の醍醐味とも言われますが、それは信頼関係があってこそ成立する遊び心です。
決して、相手を貶めて無茶な要求をしていいというわけではありません。
少しでも安く買いたいという気持ちは誰にでもあるものですが、あまりに一方的な主張は、市場が持つ本来の活気を削いでしまうようでもどかしく感じました。