最終日に届いたメール
それから最終日まで、私は完璧な引き継ぎ資料を作成し、デスクの隅々まで磨き、淡々と業務をこなしました。
そして迎えた最終出勤日の夕方。
最後に念のためチェックしておこうとメールボックスを開くと、1通のメールが届いていました。
送り主は、1年前に退職した他部署の元部長。
本文を読むうちに、思わず手が震えました。
「退職後、新会社を立ち上げたが、事務の要となる人が不足している。君のあの丁寧な仕事ぶり、使う人への気配り溢れる資料作成を思い出し、ぜひ力を貸してほしいと思っているのだが、どうだろうか?」
という、全く予想外のスカウトの連絡だったからです。
私の仕事を、私の姿勢を、覚えてくれている人がいた!
その事実が胸にじんわりと広がっていくのを感じました。
無駄な仕事なんてない
派遣切りにあったあの瞬間は、ただただ辛くて、自分の価値を否定された気分でした。
けれど、組織の一部としてではなく、私自身の真面目さを見てくれていた人は、確かにいたのです。
努力はすぐに報われなくても、思いがけない場所で新しい扉を開いたり、花を咲かせたりすることもあるのですね。
「捨てる神あれば拾う神あり」という言葉を、心から実感した出来事でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。