筆者の話です。
料理の手際がいい夫に、卵焼きの作り方を教えられるたび、心が少し重くなっていました。
けれど台所に立つ時間の中で、思いがけない気づきが生まれます。

気づいた役割

けれど、そんな夫も万能ではありません。
下ごしらえは得意でも、味付けになると少し自信がなさそうでした。
卵を溶き終えたところで、夫は箸を止めて言います。

「調味料とだし、いれてもらえる?」
卵の量にあわせて目分量で調味料を入れ、我が家の味に仕上げる。
砂糖をひとつまみ足し、だしの濃さを確かめながら、何度も小さく混ぜ直す。
結局、最後の仕上げの味付けは、いつも私の役目になっていました。

線を引く

卵を混ぜる手を止めた瞬間、全部を同じようにできなくてもいいのだと、ふっと肩の力が抜けました。
夫には得意なことがあり、私にも任されている役割がある。
比べるのではなく、切り分けて考えてみると、台所の空気は少しやわらぎます。

できない自分に無理をさせない線を引けたことで、料理の時間も、以前より楽になった気がしています。
役割を分けるだけで、気持ちはこんなにも変わるのだと実感しています。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。