筆者の話です。
夜の電車で、いつもの帰り道だと思い込んで目を閉じていました。
目を開けた先で、思いがけない状況に気づきます。

誰もいない

夜の電車で、ふと目を開けた瞬間、車内に誰もいませんでした。
ついさっきまで、周囲には何人もの乗客がいたはずです。
私はイヤホンで音楽を聴きながら目を閉じていて、停車のたびに流れていたはずのアナウンスにも意識が向いていませんでした。

帰着駅は終点駅。
「今日もいつもの帰り道」
「降り過ごすことはない」
そう思い込んでいたこともあり、何も疑わず、そのまま座っていたのです。

違和感

途中の駅で停車したとき、ざわざわと人が動く気配やドアが開閉する音は、微かに感じていました。
「この駅でみんな降りるんだな」
そんなふうに、ぼんやり考えただけでした。

実はその駅は、車両倉庫へと向かう回送電車になる手前の最終停車駅。
向かいのホームに待機している電車へ乗り換える必要があったのです。特別な案内放送も流れていたはずですが、音楽に紛れて私の耳には届いていませんでした。
そして目を開けたとき、さっきまでいたはずの人たちの姿が、きれいに消えていたのです。