え、私だけなの?
「R太さんもご高齢だからかな」と特に気にしていなかったY子ですが、次第にこの繰り返しに違和感を覚えることに……。それは、他のスタッフと話していた際に、会話の内容が繰り返されることを話題にあげると、「R太さん、私にはそんなこと聞かないよ?」と返ってきたからでした。
同じ質問をみんなにしているわけではなく、なぜ自分にだけなのか。理由が分からず、Y子の中に小さなモヤモヤが積み重なっていきました。
常連客の来店がしばらくない
Y子がそんなモヤモヤを抱えだした頃、R太さんの来店が3ヶ月程あき、「何かあったのでは」と心配に思いスタッフ間で話していると、R太さんのゴルフ仲間のS太さんが来店してくれたのです。話を聞くと、R太さんはゴルフ中に転倒し、しばらく入院していたとのことで、「今日が退院日だから、お祝いを持って行こうと思って寄ったんだ」とS太さんが嬉しそうに教えてくれました。
さらに「R太はね、君のことを離れて暮らす孫にそっくりだって言ってたよ」「話したいけど、何を話せばいいか分からなくて、いつも同じことを聞いてしまうって照れくさそうに話してたんだ」とR太さんの意外な本音を話してくれました。
真実を聞いてモヤモヤがすっきり!
「なぜ私だけ?」と思っていた疑問の答えは、思いがけないほど温かな理由。その言葉を聞いた瞬間、Y子の胸のつかえはすっと消えました。Y子は「そういうことだったんだ」と、心から納得しすっきりしたと同時に、自分を孫のように思ってくれていた嬉しさが込み上げてきました。
「次は、退院おめでとうございますって声をかけて、私からゴルフの話でも振ってみよう」と今ではR太さんの来店の日が待ち遠しい気持ちに変化しました。
同じ言葉の繰り返しの裏には、不器用な優しさと照れが隠れていた。人との距離感に悩みながらも、誰かとつながりたい気持ちは、年齢に関係なく同じなのだと感じさせられるなんだか心がほっこりするエピソードでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。