嫌な予感が確信に変わった
「え? 自分がやるんですか?」
正直、この言葉に驚きました。介護がはじまったという自覚が、全くない証拠です。
嫌な予感は、すぐに現実になります。
後日お話を伺うと、「栄養がある食事を、と言われたので、肉をたくさん焼いた」「運動が必要と言われたので、筋トレを教えた」と話してきたのです。
入れ歯で歩くのも不安定な母親に、どう考えてもその内容はあっていません。
当然本人は食べられない、動けない。その様子を見た息子さんは「本人にやる気がないから、自分に世話は無理だ」と言うのです。
さらに「洗濯も掃除もしなくなった。自分は仕事があるのに」と不満を口にしました。
現場で、いちばん悩んでいること
最終的に彼が放った言葉は「お金を払っているのだから、施設でやってほしい」と言う無理難題でした。
こちらができることとできないことを丁寧に説明し、いったんは納得いただきました。それでも、介護が必要な状況であるにもかかわらず、事の重大性に気づけていない点が気がかりで仕方ありません。
この女性を守るために、何を、どう伝えるべきなのか。介護職として、いちばん頭を悩ませているのは、その部分でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。