人見知りと後追いが激しかった筆者の息子。外食も諦めていたある日、馴染みの店で、思いがけない救世主が現われました。その出会いが、息の詰まりがちだった育児に、そっと風穴を開けてくれたのです。

顔なじみのお店のおばちゃんが「おいで~!」と、息子をひょいと抱き上げてくれたのです。
正直、その瞬間は焦りました。

ところが━━息子が、なぜかニコニコしているのです。
「え? 泣いてない?」

今のうちに……!

「今のうちに……!」
私たちは、感謝しながら急いで箸を取りました。久しぶりに、温かい料理を落ち着いて口に運べた瞬間です。

おばちゃんは、「ゆっくり食べてね。あやしながら、ちょっとあそこの店先まで、行ってくるわ」と言って、息子を喜んで預かってくれました。
長年の信頼関係があるおばちゃんならではの展開に、こちらがぽかんとするほどです。

しばらくして戻ってきた息子は、キャッキャと声をあげて大はしゃぎ。
その姿を見たとき、嬉しくてありがたくて涙が出そうになりました。

育児に必要なのは、完璧さよりオアシス

それから外食といえば、いつもそのお店へ行くようになりました。
そのたびにおばちゃんは、「待ってたよ~!」と、快く息子と遊んでくれました。

人見知りの息子が安心して笑い、母は温かいごはんをゆっくり食べられる━━そんな場所があるだけで、育児はずいぶん楽になりました。
育児はひとりで抱え込まなくていい。甘えられる場所、“オアシス”が一つあるだけで、また頑張れるのです。
ほんの少し心を開くだけで、世界はやさしくなる、と教えてもらった出来事でした。

【体験者:50代・筆者 回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。