筆者の話です。
夫が「壊れたかも」と掃除機を前に騒ぎ出した日。
床をなぞるだけでは終わらない“掃除”の中身を、夫は知らなかったようです。

動かない?

「全然吸わない」「もう壊れたかもしれない」
ある日、夫が掃除機をかけている途中で、少し大きな声を出しました。

本体を軽く叩いたり、コードを抜き差ししたり。
電源を入れ直しては、首をかしげています。

掃除の途中で立ち止まり、同じ場所を何度も往復している様子に、少しだけ時間が止まったように感じました。
掃除機の音だけが続き、部屋の空気もどこか落ち着かないままでした。

違和感

私は少し離れた場所から、その様子を見ていました。
「そういえば、そろそろかも」
吸い込みが弱いと感じたとき、まず確認する場所があることを、頭の中で自然と思い浮かべます。
けれど夫は、操作を続けるばかり。床には小さなゴミが残ったままでした。

掃除機のヘッドが行き来するたび、軽い音だけが部屋に響きます。
状態を見て、手を止めて、次の一手を考える。
吸い込まれたゴミが、どこへ行くのか。
そこまでは、まだ想像が及んでいないようでした。