体調が優れない朝、病院で耳にした強い声。
ただ並んでいるだけなのに、気持ちが追い詰められていきました。
強い声
しばらくすると、誘導の男性スタッフが現れ、列の整理を始めました。
「もっと前に詰めて!」
「そこじゃありません!」
はっきりとした声が廊下に響き、そのたびに列がざわりと動きます。
慌てて一歩踏み出す人もいれば、足元を気にしながら小さく身を縮める人もいました。
列の前後から、小さなため息や同行者を気づかう声が聞こえてきました。
誰かが悪いわけではないのに、その場にいる全員が、少しずつ追い立てられているように感じました。
その方にとっては、業務として必要な声かけなのだと思います。
けれど、廊下の空気は少しずつ張りつめ、緊張が伝染していくようでした。
身構える
私自身も体調が万全ではなく、その声を聞くたび、無意識に肩に力が入ります。
注意されないよう、前の人との距離や周囲の動きを過剰に気にしながら立っていました。
ただ並んでいるだけなのに、呼吸が浅くなり、落ち着かない気持ちが積み重なっていきます。
「間違ったら大きな声で叱られるかも……」
立っているだけなのに、足先がじんわり重くなっていくのを感じました。
早く座りたい、でも動いてはいけない。
病院に来たはずなのに、心まで緊張している自分に気づきました。
残った思い
病院は、不安や痛みを抱えた人が集まる場所です。
だからこそ、言葉ひとつで安心できることもあれば、不安が増してしまうこともあります。
体調が悪いときほど、声のトーンや言い回しが心に強く残る。
そんなことを、身をもって感じた出来事でした。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。