親子のカタチは十人十色……さまざまな事情から一緒に暮らせないケースも少なくありません。筆者の友人・K美は、施設に入所した母親の様子を聞いて、取り返しのつかない気持ちになったそうです。ちょっと哀しいK美のエピソードをご紹介しましょう。

母が施設で探していたもの

母が入所してしばらくたった頃、兄から「母が施設内で『目が離せない存在』になってしまった」と聞かされました。
歩くことに支障がない母は不適切なものを口にしてしまうことや無意識の外出が増え、職員さんも常に注意が必要な状態になってしまったとか。
兄から「一度顔を出してやってくれ」と頼まれた私は、施設へ面会に行くことにしました。

当日、担当の職員さんは「いつも食事の後に落ち着かない様子が見られるんです。娘さん(私)の名前を呼びながら、探すようになってしまって。女性職員が対応すると「ご飯食べなさい」とか「疲れてない?」とかおっしゃるんですよ」と話してくれました。母は混乱の中にいても、私のことを思い、誰かを気遣う優しさを失っていなかったのです。

これからのこと

就職して実家を出てから、忙しいことを理由に母の面倒はすべて兄に任せていた私。
母の現状を聞かされ、自身の甘さと、母の深い愛情に気づき、どうしようもない後悔に襲われました。

失ってしまった時間は取り戻せませんが、今では時間を作って母に会うために帰省するようにしています。
母は私が誰だか認識できていませんが、私を案じてくれていた母の想いに応えるためにも、できるだけ笑顔で接することを心がけたいと思います。

【体験者:50代女性・会社員、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:RIE.K
国文科を卒業しOLをしていたが、父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄、多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子どもを養うために、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。