たとえ悪気のない言葉でも、ときに深い傷を負わせることがあります。
幼いころ実母にかけられた言葉が、大人になっても小さなトゲとなって心に刺さっていた筆者の知人A子さん。
しかし、娘が通う保育園でのある出来事がそのトゲを優しく抜いてくれたと言います。
幼いころ実母にかけられた言葉が、大人になっても小さなトゲとなって心に刺さっていた筆者の知人A子さん。
しかし、娘が通う保育園でのある出来事がそのトゲを優しく抜いてくれたと言います。
ピンクのドレスに憧れて
「いつか、絵本に出てくるお姫様のようなピンクでかわいいドレスを着てみたい──」
私が幼いころ。母が裁縫職人ということもあって、お人形のミニチュアドレスをたくさん作ってくれました。
そのドレスとお人形で「きせかえごっこ」をして遊ぶのが、当時の私の日常です。
もちろん、母は私の服もたくさん作ってくれました。
友だちからは「A子ちゃんのお母さんすごいね!」とよく褒められるほど。なので母の作る服はちょっとした自慢でもありました。
裁縫職人の母からの重い一言
けれど、母は一度も私の好きな「ピンクの服」を作ってくれることはありませんでした。
「ピンク色の服が着たいな」
勇気を出して伝えた私に向かって、母は顔色ひとつ変えず、こう言い放ったのです。
「あなたの顔にピンクは似合わないわよ。地味だから、紺やグレーの方がマシ」
母に悪気はなかったのでしょう。プロの縫製職人として「似合う色」を客観的にアドバイスしてくれたつもりだったのかもしれません。
とはいえ、小学校低学年だった私にとって、その言葉はあまりに重く、まるで自分を否定されているような寂しさで胸がいっぱいになりました。
それ以来、私は「自分はピンクを着てはいけない人間なんだ」と思い込むようになりました。母の言う通りの色を選ぶようになっていったのです。
わが子には好きな色を自由に
時が流れ、私にもかわいい娘が誕生しました。
「この子には、私のような思いをさせたくない」
その一心で育てた甲斐あってか、娘は自分の感性を大切にする、素直で元気な女の子に成長しました。
ある日の保育園での出来事です。
娘は、先日一緒に選んで買ったばかりの、お気に入りのピンクの上着を着て登園しました。