私は驚きました。
「でも、長引くタイプですし、最後にゆっくり時間を取ったほうが……」
そう食い下がる私に、主任はきっぱりと言いました。
「最後だと、後ろがつかえていない安心感から、ついお互いに甘えが出て時間が伸びてしまいがちなの。全ての保護者の方に平等に時間を割り当てるためには、後に人が待っている状況を作って、制限時間を意識してもらうことも、お互いのための大切な『枠組み』作りなの」
限られた時間で最善を尽くす仕事術
私は「聞くこと」が優しさだと思っていましたが、限られた時間内で本来伝えるべき情報を整理し、共有することこそがプロとして正解だったのです。
時間を区切ることは、冷たさではなく、限られた時間の中で最大限に「お子さんのための話」に集中するための工夫でした。
もちろん、面談の順番は「仕事の都合で遅い時間がいい」「きょうだい続けて行いたい」といった保護者側の希望や、提出順などの事務的な事情で決まることがほとんどです。しかし、時にはこうした「プロとしての時間管理」という視点も必要だったのです。
主任のアドバイスのおかげで、その年の面談は全ての保護者の方と定刻通りに終わったのでした。
「時間は有限」だと意識することで、むしろ一言一言を大切にできるようになったと感じています。
【体験者:30代・女性公務員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。