これは筆者の友人A子に聞いた話です。ある日の午後、A子のもとに学校から一本の電話が。普段は穏やかな息子が、授業中に思いがけない行動を取ったというのです。理由が分からないまま、不安と戸惑いを抱えるA子。叱るべきか、寄り添うべきか。子どもの行動の裏側と向き合う母の葛藤を描いたエピソードです。

学校からの一本の電話に胸がざわつく

ある日の午後、仕事中のA子のもとに、息子の担任の先生から電話が入りました。
「Kくんが、授業中にランドセルを投げてしまいまして……」
その一言で、A子の心臓は一瞬止まりました。
普段はおっとりしている息子が、そんな乱暴なことを?
事情を聞くと、算数の問題を巡ってクラスメイトと口論になり、カッとなってランドセルを投げたというのです。
幸い誰にも当たらなかったものの、クラス中が凍りついたとのこと。
A子は電話口で先生に深く謝罪し、まずは相手のお子さんに怪我がなかったことに安堵しながらも、「いったい何があったんだろう」と、仕事が手につかなくなりました。

家に帰っても“謝らない息子”

帰宅後、A子は「今日、学校で何があったの?」と尋ねました。
息子はうつむいたまま、「だって、僕は悪くない」と言い張りました。
話を聞くと、席の隣の子が息子の答えを笑ったことに腹を立てたそうです。
「バカにされた気がして、頭にきたんだ」
A子は気持ちを理解しながらも、行動の重大さを伝えようとしました。
「悔しかったね。どんな理由があっても、物を投げるのは絶対にだめだよ」
しかし息子は、口をとがらせたまま黙り込んでしまいました。
“叱る”だけでは届かない。A子は、母親としてどうすべきか悩みました。