筆者の話です。
父の定年を祝う、ささやかな家族の集まりでのこと。
母が差し出した一通の封筒に、思いがけず手が止まりました。
父の定年を祝う、ささやかな家族の集まりでのこと。
母が差し出した一通の封筒に、思いがけず手が止まりました。
母のひと言
「私にもらった分を二人でわけるから大丈夫だよ」
家族単位で考えれば、そこまでしなくてもいいと思い、私はとっさにそう言って封筒を戻そうとしました。
すると母は、少しだけ笑って言いました。
「お婿さんも、もう息子でしょ」
さらに、「送り迎えをしてくれたりして助かったのよ」と続けます。
夫は一瞬戸惑ったあと、照れたように封筒を受け取りました。
照明の下でそれを見つめる横顔は、どこかうれしそうに見えました。
線を引かぬ愛
「俺も息子だから」
そう言いながら夫が動いてくれることが増えました。
その様子を見ながら、親の愛情は血のつながりだけで線を引くものではないのだと感じます。
家族という枠を人数や形式ではなく、共に過ごしてきた時間で見ていたのかもしれません。
それは、これからも一緒に生きていく相手として受け入れているという意思表示のようにも感じました。
言葉にして、形にして、ちゃんと渡すという選択。
その自然な振る舞いに、親の存在の大きさを静かに感じた出来事です。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。