救世主現る
そんな憂鬱な感情を抱えて生活していたある日、休憩室で「産休育休ばっかりで、残された側の身にもなってほしいよね」とE子がいつものように不満を口にしているのを偶然聞いてしまいました。
すると、静かに話を聞いていた新入社員のH子が「確かに残される側の負担は大きいですよね。でも、それってY子さんのせいじゃなく、会社として皆でカバーし合える体制を整えていくべき問題ではないでしょうか。制度があるからこそ、私たちは将来安心して働けるのだと思います」とはっきりと先輩であるE子に向かって言ったのです。
あまりにも真っ直ぐな言葉に、休憩室は一瞬で静まり返りました。E子は、制度の意義を説いた新人の言葉に、毒気を抜かれたような表情を見せました。その場にいたY子は、胸の奥に溜まっていた重たいものが、すっと軽くなるのを感じました。
それ以降、E子のY子に対する陰口はピタリと止みました。Y子自身も、周囲の負担を当たり前と思わず、これまで以上に丁寧な引き継ぎ資料の作成や、勤務中の密度の高い仕事を心がけるようになりました。H子の一言は、Y子だけでなく、職場全体の空気を少し変えたように思えます。
少子化が叫ばれる今、本当に必要なのは制度の強化だけでなく、現場の負担を可視化して補い合う組織の努力と、お互いの立場を尊重する想像力。新しい視点を与えてくれたH子の存在に、大切なことを学んだエピソードでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。