夫が定年を迎えたら、夫婦でゆっくり過ごしたい。そんな風に老後の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざその時を迎えてみると、想像していた生活とは少し違うこともあるようです。今回は、筆者の知人の体験談をご紹介します。

思えば、会社という大きな居場所を手放し、夫も戸惑いと不安を感じていたのでしょう。
長年、仕事に全力だったからこそ、家での時間の過ごし方が分からなかったのかもしれません。

やがて私は、「夫も、『新しい生活の初心者』なんだなぁ」と気づきました。

“頼りグセ”の原因

振り返れば、夫に家のことを任せるより自分が動いた方が早いと、私は何でも先回りしてやってしまっていました。

仕事が忙しく趣味も持てないまま、気づけば夫の世界は会社だけに偏ったまま。

急に生活スタイルを変えるのは、誰にとっても大きなハードルです。
年齢を重ねてきた人なら、なおさらでしょう。

夫が無自覚に“頼りグセ”を身につけてしまった背景には、私の関わり方もあったのだと、反省しました。

お互いのための適度な距離感

定年後に新しく趣味を持ったり、人間関係を築くのが難しいからこそ、早いうちから夫婦別々に楽しめる居場所を作っておく方が、将来の自分たちを助けることになるのだと痛感しました。

それは、決して突き放すことではなく、どちらか一方に負担が偏らないための小さな準備なのです。まずは「自分の昼食は自分で用意してみる」といった小さな自立から。

お互いが、自分の世界をちょっとずつ育てておく。
その方が、きっと後になって私たち自身を楽にしてくれるんだろうな、と最近思うようになりました。

私は今、少しずつ夫にもひとりの時間を楽しんでもらえるよう、見守りながら調整中です。
一緒に過ごす毎日を大切にしながらも、自分たちのペースで、心地よい距離感を見つけていきたいと思います。

【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。