中学生くらいになると、子どもの世界は一気に広がり、親の言葉も届きづらくなりますよね。小さかった頃の素直さを思い出してはため息をつきたくなる日もあるものです。今回は、子育て中の友人のエピソードをご紹介します。
沈黙の中で通じ合う心
息子は最初こそ露骨に嫌な顔をしましたが、そのうち夫が無言で差し出したレンチを、素直に受け取りました。
そして、そのまま1時間以上、2人は並んで作業を続けたのです。
時折、夫がお手本を見せるようにネジを回し、息子がそれをじっと盗み見る。
会話はゼロなのに、2人がたしかに通じ合っているのが、家の中から見守っている私にも伝わってくるようでした。
ただそばにいるということ
ようやく作業が終わり、夫が差し出したコーラを息子が少し表情を緩めて受け取ったとき、私は自分の間違いを悟りました。
これまで、「言葉で何とか伝えなきゃ」「導かなきゃ」と必死でしたが、今の息子には“正しいアドバイス”より自分を保てる“静かな居場所”が必要だったのかもしれません。
隣に座り、否定せず、強制もしない。
ただ一緒にいるという静かな肯定。
子どもが自分で考える力を信じて待つ勇気を、夫の背中から学んだ出来事でした。
これからは、私も少し肩の力を抜いて、息子を見守っていこうと思います。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。