これは、筆者の友人A子に聞いた話です。小学4年生の娘の些細な忘れ物をきっかけに、A子は小さな違和感を覚えます。理由を語らなくなった娘の変化に戸惑いながらも、寄り添うことの大切さと、子どもの沈黙が持つ意味を考えさせられる体験談です。
戻らない給食袋に覚えた違和感
私は小学4年生の娘M子を育てています。
ある週の初め、M子が「給食袋を学校に置いてきた」と言いました。
これまでも忘れ物をすることはありましたし、その時も特に不思議には思いませんでした。
慌ただしい朝だったこともあり、「気をつけてね」と声をかけただけで、その日は終わりました。
ところが翌週も、さらにその次の週も給食袋は戻ってきません。
洗い替えを出しながら、「さすがに続きすぎている」と胸の奥に小さな引っかかりを覚えました。
ただの忘れ物にしては不自然で、説明が足りない気がしてならなかったのです。
増えていく沈黙と母の不安
私はM子に理由を聞こうとしましたが、「忘れただけ」「大丈夫」と短い言葉が返ってくるだけでした。
以前は学校であったことを楽しそうに話してくれていたのに、その頃から会話自体が減っていたことにも気づきました。
食事中もどこか上の空で、テレビを見ていても笑顔が少なくなっていました。
私の中で不安は少しずつ膨らみ、「本当は何か隠しているのではないか」「嫌な思いをしているのでは」と考えるようになりました。
それでも、「強く問い詰めることで心を閉ざしてしまったらどうしよう」という怖さがあり、なかなか踏み込めずにいました。
母親として、正解が分からず立ち止まってしまったのです。