これは、知人のA子さんに聞いたお話です。
コールセンターで働く彼女が遭遇した、ある「理知的な」男性客がいました。
理不尽な怒りをぶつけてきた彼が、自らの言葉で勘違いに気づき、思わぬ形で幕を閉じた結末に!? 現場の緊張がふっと緩んだエピソードをご紹介します。

地獄のコールセンターに現れた「妙な圧」の男性

ある日、A子さんが勤めるコールセンターでは、大規模なシステム障害により電話が鳴り止まない異常事態が発生していました。
「仕事にならない!」「どう責任を取るんだ!」受話器の向こうからは常に怒号が飛び交い、オペレーターたちは疲弊しきっていました。

そんな中、A子さんの元に一本の電話が入ります。「もしもし、システムの件で確認したいのですが」受話器から聞こえてきたのは、それまでの感情的な声とは一線を画す、非常に落ち着いた中年男性の声でした。怒鳴り声に慣れてしまっていたA子さんは、少しホッとしたものの、その静けさの裏にある「妙な圧」のようなものに警戒心を抱きます。

男性は専門用語を交えながら理知的な口調で状況を尋ねてきました。A子さんは慎重に、かつ丁寧にマニュアル通りの案内を進めていきます。
幸い、男性はこちらの話を理解しているようで、通話は順調に進んでいきました。「このまま何事もなく終わればいいのだけれど……」そう願っていたA子さんでしたが、その期待は裏切られることになります。

突然の激昂! 始まった「過去発言の検証会」

案内が一通り終わり、解決策も見えてきたその時でした。男性の声色が急変します。
「あなたの説明は非常に分かりにくい!」突然の激昂に、A子さんは耳を疑いました。「申し訳ございません。どのあたりがご不明でしょうか?」と尋ねても、男性の怒りは収まりません。

「最初から結論を言うべきだ! あなたの話し方は順序がおかしい!」とヒートアップし、こちらの言葉を遮って自らの正当性をまくし立て始めます。男性はご自身の仕事にも影響が出て焦っていたのでしょうか、次第にA子さんの説明スキルに問題があると主張し始めました。

A子さんは反論をグッと飲み込み、冷静に相槌を打ち続けました。ひとしきり話し終えて少し落ち着いた男性に対し、A子さんは再度、最初から状況を整理して説明し直します。これで納得してもらえるはず。

そう思ったのも束の間、男性は蒸し返すように再び説教モードに入りました。「だから! 最初からそう言えばいいんだ。あの時あなたはこう言ったでしょう? だから俺は勘違いしたんだ!」男性は過去のやり取りを細かく検証し始めました。
しかし、それが意外な結末への入り口だったのです。