そして次の瞬間、女性は飲みかけのカップをカウンターに乱暴に置き、勢いでこぼれた中身がカウンターを汚します。「作り直して。今すぐ」
後日、防犯カメラの音声を確認すると、やはり女性ははっきりと「ホット」と注文していました。たとえ勘違いがあったとしても、相手への敬意を忘れない姿勢の大切さを、A子は痛感したといいます。
「あの時確信したね。どんなに装いが素敵でも、相手への接し方一つで、その人の本当の魅力が隠れてしまうんだなって」
カウンターの向こうから見た「真実」
A子や店員たちの間では、こうした振る舞いを見て、密かに「残念だな」と感じてしまうこともあるそうです。
「見た目だけは完璧に整えているのに、言動が少し寂しい。そういう方を見ると、なんだか切ない気持ちになるんだよね」
逆に、心に残る素敵な客もいます。目を見て「ありがとう」と言ってくれる人、混雑時に「お疲れ様です」と声をかけてくれる人——。「そういう方は、どんな服を着ていても、本当にかっこよく、素敵に見えるよ」
レジ前の、わずか30秒。そこには、ブランドロゴでは隠せない「心の余裕」が、はっきりと言動にあらわれます。
カウンターの向こう側で、店員は、見ています。あなたが周囲に分け与える、その温かな品性と「本当の素顔」を。
【体験者:30代・女性・主婦、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。