ハイブランドバッグの女性
友人のA子は、都心の駅ビルに入る某大手コーヒーチェーンで働いています。ある日、10万円はするであろうハイブランドのバッグを肩にかけた40代らしき女性が入店してきました。
「アイスラテのトールで」
スマホから一瞬も目を離さず、画面をスクロールしながら注文。A子が「550円になります」と告げても、女性の視線は画面に釘付けのまま。すると次の瞬間——バンッ。財布から取り出した千円札を、まるでゴミでも投げ捨てるかのようにキャッシュトレーに叩きつけました。
お釣りを渡そうとした際も、女性はスマホを操作しながら片手だけを差し出し、「ありがとう」の一言も、目配せすらもなく立ち去りました。完成したドリンクを受け取る時も無反応。まるで自動販売機からジュースを取り出すかのような無機質な振る舞いでした。
「透明人間」扱いされる店員たち
「あの瞬間、自分は人間じゃなくて、ただの『注文処理機』なんだって思い知らされるよ~」とA子は苦笑い。
彼女によれば、このような客は決して珍しくないといいます。スマホを見たまま無言でカードを突き出す人、小銭をジャラジャラとキャッシュトレーにぶちまける人、確認事項を伝えようとしても「いいから早くして」と遮る人……。
「一番つらいのは、存在を無視されること。『いらっしゃいませ』と言っても、まるで空気。透明人間って、こんなに寂しい気持ちなんだなって思うよ」
言葉の行き違いから見えたもの
そんなA子が「あれは忘れられない」と語るのが、ある雨の日曜日の出来事。
ハイブランドのツイードジャケットを着た女性客。注文は「キャラメルマキアート、ホット、豆乳変更、ホイップ多めで」A子は丁寧に復唱し、確認を取りました。
ところが商品を渡した直後、一口飲んだ女性が顔を歪ませ、怒鳴ったのです。「ちょっと、これホットじゃない! 私、アイスって頼んだけど!?」
A子が丁寧に「恐れ入りますが、ホットで承りましたが……」と説明しようとすると、女性は被せるように「はぁ!? 耳悪いの!? 聞き間違えないでよ!」と声を荒らげます。