家は本来、一番安心できる場所であるはずです。しかし、親が子どもをランク付けし、あからさまに差別するという信じられない環境で育った女性がいます。
筆者の知人、A子さんから聞いたのは、歳の離れた妹を守り抜いた、切なくも力強いエピソードでした。
筆者の知人、A子さんから聞いたのは、歳の離れた妹を守り抜いた、切なくも力強いエピソードでした。
「5歳と3歳」の間に引かれた、残酷な境界線
「せっかく作ったのに! 食べろ!」
食卓に母の怒鳴り声が響きます。叱られているのは当時5歳の次女。ほんの少しおかずを残しただけで、母は烈火のごとく激昂しました。
しかしその直後、隣に座る3歳の三女が同じように箸を止めると、母は別人のような笑顔で「まだ小さいもんね、いいのよ」と頭を撫でるのです。
こうした異様な格差は、妹たちが成長しても続きました。母の愛を一身に受ける三女と、突き放される次女。
その光景を、長女の私はいつも胸を締め付けられる思いで見つめていました。母の顔色を伺い、泣くのを我慢する次女の姿に、幼い頃の自分を重ねずにはいられなかったのです。
逃げ出したい心。それでも「真ん中の妹」を守り抜くと決意した日
高校生になった私は、「私がこの子の母親代わりになろう」と心に決めました。
本当は今すぐにでも家を飛び出したかった。けれど、冷たくあしらわれる次女を置いていくことなんて、どうしてもできませんでした。
それからの私は、学校が終わればバイトに明け暮れました。母は三女にだけおやつを準備し、遊んであげるのも三女だけ。その傍らで次女は一人静かに、寂しげな背中を丸めていました。
私は稼いだお金で次女にお菓子を買い、公園で一緒に遊びました。
「お姉ちゃんがいるから大丈夫だよ」その言葉だけが心を繋ぎ止める防波堤でした。
妹の笑顔が過去を救ってくれた
月日は流れ、次女も高校生になりました。
社会人になった私が帰宅すると、彼女は玄関まで走ってきて「お姉ちゃん、おかえりなさい!」と、とびきりの笑顔で迎えてくれます。
「今日もお疲れ様」と労う彼女の優しさに触れるたび、温かな安堵が広がりました。
あんなに過酷な環境で育ちながら、妹は人を思いやれる、真っ直ぐで心のきれいな子に成長してくれた。
その笑顔を見るだけで、これまでの苦労がすべて吹き飛びました。