直感が鳴らした警報
しかし、私はタカシに強い違和感を覚えました。
妙に浮ついた口調、これ見よがしなブランド品、不釣り合いな高級車……。
そして何より、どこか焦りがにじむ態度。
その場では話を合わせつつ、私は密かに共通の知人やSNSを通じて、タカシの近況を調べてみることにしました。
すると、タカシが多額の借金を抱え、あちこちで金を無心しているという噂が次々と出てきたのです。
投資話も、やはり実体のない詐欺だと分かりました。
身内の情を利用する罠
父が必死に貯めた老後の資金を、詐欺なんかで奪わせるわけにはいかない。
翌週、私は証拠を揃え、再び実家へと向かいました。
「この投資先、住所が存在しないみたいだけど?」
私が淡々と事実を突きつけると、タカシの顔がみるみる青ざめます。
ついには逆ギレして、「身内を疑うのか!」と怒鳴ってきましたが、私は無視して父に向き直りました。
「お父さんが一生懸命働いて貯めたお金を、こんな嘘の投資話に捨てさせたくないの」
大切な人を守るために
私の揺るがない態度に、タカシは何も言い返せず、結局逃げるようにそそくさと去っていきました。
もし私が偶然帰省してその場に居合わせなければ、今ごろ父はタカシに騙されて大金を失っていたでしょう。
父は大きなショックを受けていましたが、後日こう言いました。
「とんでもないことになるところだった。止めてくれてありがとう」
身内だからといって、すべてが善意とは限らない。
大切な家族を守るために、疑う勇気を持つこともまた、本当の優しさなのだと学んだ出来事でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。