筆者の話です。自閉症の長男を17年間診てくれた小児精神科医。「障害年金の診断書も僕が書くよ」という約束を信じていたのに、いざ20歳を迎えると診察は流れ作業化され、ほとんど話を聞いてもらえませんでした。当然ながらその医師の診断書の内容での申請は却下。私は苦渋の決断を迫られます。長年の恩と息子の未来、天秤にかけたその選択とは……。

温かな信頼関係

私の長男は、自閉症で重度の知的障害があります。

3歳の時から、小児精神科のクリニックにお世話になっていました。

主治医はU医師という方。

当時はまだ若く、エネルギッシュに診察をしてくださっていました。

なかなか発達の伸びが見られない長男に、私は不安を抱えていました。

しかし、U医師はいつも温かく見守ってくださいました。

「お母さん、焦らなくても大丈夫ですよ。一歩ずつ進んでいきましょう」

丁寧にアドバイスをくださり、時には私の悩みにも耳を傾けてくださいました。

その後、やはり重度の知的障害が決定した長男の診察の際、U医師はこう言ってくださったのです。

「20歳の障害年金の申請も、僕が書くから安心してください」

その言葉に、私はどれほど救われたことでしょうか。

この先生なら、長男の将来もきっと支えてくださる。そう信じていました。

診察の変化

それから数年が経ち、U医師のクリニックは立派なビルに改装されました。

待合室は広くなり、設備も最新式になりました。

一見、私たち患者にとっても良い環境になったかの様に見えました。

時の流れとともに、U医師もベテランの域に達し、以前のような活力が感じられない日も見受けられるようになりました。

それでも外来を続けていることもあり、私は「長年診てくださった先生だから」と信頼して通い続けていました。

しかし、ある時から診察の様子が明らかに変わっていきました。

以前は30分以上かけて丁寧に問診をしてくださっていたのに、最近では10分もせずに診察が終わるのです。

「はい、じゃあ、またね」

私が長男の最近の様子を伝えようとしても、U医師はほとんど話を聞いてくださいません。

カルテに目を落としたまま、流れ作業のように診察を進めていきます。

「先生、最近こういうことがあって……」

「ああ、はいはい。じゃあね」

私は不安になりました。

長男はもうすぐ20歳。

障害年金の申請には、主治医の詳細な診断書が必要です。

こんな診察で、本当に大丈夫なのでしょうか。