筆者の従妹、Mの話です。機械いじりが好きで、念願の国立高専に合格したM。しかし、希望に満ちた高専生活は、わずか1年で突然終わりを告げます。家業の倒産により退学を余儀なくされたMが選んだ道とは? 諦めない心が導いた、奇跡の物語です。

夢への第一歩

Mは子どもの頃から理系科目が得意で、特に機械いじりが好きな少女でした。

高校受験の時、Mは迷わず国立高等専門学校(高専)を選びました。

高専は5年間で専門的な技術を学べる学校で、卒業後はエンジニアとして即戦力になれます。

Mにとって、まさに理想の進路でした。

合格発表の日、Mの名前が掲示板にあるのを見つけて家族全員が喜びました。

「よく頑張ったね、M!」

母親は涙を浮かべ、祖母も「これでMの将来は安泰だ」と安堵していました。

Mは希望に満ちた表情で、合格の嬉しさをかみしめていました。

しかし、その希望は入学からわずか1年で打ち砕かれることになります。

突然の退学

Mの家は、祖父の代から続く製造業を営んでいました。

しかし、婿養子として家に入ったMの父親の代になってから、経営は急速に悪化していきました。

父親には経営の才能がなく、無謀な設備投資や取引先の選定ミスを繰り返しました。

祖父が築いた信用も顧客も次々と失い、ついに会社は多額の借金を抱えて倒産寸前となっていたのです。

ある日、Mは両親に呼ばれ「M、申し訳ない。高専を辞めてもらうことになった」と言われました。

父親は悔しそうに頭を下げ、母親は泣いていました。

「家業の借金返済のために、家計を切り詰めなければならない。高専の授業料や寮費も、もう払えない。働いて家計を助けてほしい」

せっかく合格した国立高専。

友達もでき、学ぶことが楽しくて仕方がなかった日々。

将来エンジニアになる夢。

Mの世界が崩れ落ちました。

「でも、私は……」

そう言いかけたMの言葉を、母親が「ごめんね、M。でも、家族みんなで乗り越えないといけないの」と言って遮りました。

Mは何も言えませんでした。

独学に励む日々

退学届を提出した日、Mは泣きませんでした。

「いつか必ず、この借金を返して、自分の力で技術者になる」

そう言ってMは地元の工場で働き始めました。

朝から晩まで、単純作業の繰り返し。

高専で学んでいた専門知識とは程遠い、肉体労働の仕事でした。

しかし、Mは諦めませんでした。

仕事が終わった後、帰宅してから深夜まで独学で勉強を続けました。

高専の教科書を手放さず、図書館で専門書を借りて情報を集めました。

休日には古いパソコンを分解して仕組みを学び、プログラミングの勉強も。

Mは静かにコツコツと努力を重ねていました。