筆者の話です。
「何が食べたい?」と聞かれると、なぜかいつも同じ名前が浮かぶ自分がいました。
味でも流行でもない理由に、あとから気づくことになります。
「何が食べたい?」と聞かれると、なぜかいつも同じ名前が浮かぶ自分がいました。
味でも流行でもない理由に、あとから気づくことになります。
つい出る名
「何が食べたい?」
友人との外食。
集合して、そう聞かれるたびに、私はほとんど考えずに「あそこのハンバーガーがいいな」と、あるチェーン店の名前を口にしていました。
50代という年齢や健康のことを思えば、もっと別の選択肢があってもいいはずです。
野菜が多い店や、評判のいい定食屋だって頭には浮かびます。
それでも、言葉にする前に出てくるのは、決まって同じ名前でした。
「えっ、また? 他にないの?」
友人に苦笑いされながら、自分でも「なんでだろう」と不思議に思っていました。
いつの間にかそれが「定番」になっていったのです。
けれど、そこには理屈を超えた「理由」があったのです。
思い出重ね
理由を探るうちに、ふと思い出したのは高校生の頃の光景。
地元に初めてできたそのハンバーガー店は、学校のすぐ近くの商店街にありました。
登校時間になると、店の前でスタッフからクーポンが配られ、友達と顔を見合わせて受け取ったことを覚えています。
放課後、特別な用事がなくても「ちょっと寄っていかない?」と誘い合う。
それだけで少し背伸びをしたような、いつもより大人びた気分になれました。
「ねぇ、顔見知りの人いないよね?」
「大丈夫だって。でさ、今日の授業難しかったね」
周りをキョロキョロ見回しながら、ポテトをつまんで弱音を吐く。
「それ、私のポテトだけど?」
「あ、ごめん! 間違えた(笑)」
そんな他愛もないやり取りで笑い転げ、宿題を教え合ったあの場所。
ただの寄り道が、私たちにとっては特別なイベントでした。
店に一歩入るだけで、一日がパッと明るくなるような、魔法のような空間だったのです。