思わず言い返したA子さんでしたが、娘の指摘は止まりませんでした。
「反抗期が酷かったと言うけど、兄さんの方が激しかったよね? でもお母さんは、私にだけ異様に冷たかったよ。無意識かもしれないけれど、明らかに兄妹差別があったよ」
「反抗期で悲しい思いをさせたのは申し訳ないと思ってる。でも、あの時の私にとって、お母さんは何を言っても最後には受け止めてくれるはずの唯一の存在だったんだよ。それを否定されたら、子どもはどうすればよかったの?」
娘から放たれたのは、当時抱えていた孤独と絶望でした。
「育ててくれたことには感謝している。でも私とお母さんは、今くらいの距離でいるのが丁度いいと思う」
そう告げられ、A子さんは自分の過ちにようやく気付かされたのです。
傷付けてごめんなさい。遅すぎた猛省
娘の言う通り、息子の方が反抗期は酷かったのに、なぜ娘にだけこれほど感情をぶつけてしまったのでしょうか。
同性ゆえの甘えがあったのか、あるいは自分を重ねて見てしまっていたのか。無性に腹が立って仕方がなくて、反抗期が終わっても嫌味を言う口を止めることができなかったのです。
息子は海外に就職しており、帰国することはほとんどありません。
「老後は子どもたちが孫を連れて遊びに来る」という穏やかな風景を夢見ていましたが、自分の過去の振る舞いがその未来を壊してしまったのだと痛感しました。
今さら後悔しても遅いのは分かっていますが、反抗期を理由に言いたい放題していたのは、娘ではなく親である自分の方だったのかもしれません。
血が繋がっているからといって、親だからといって、何もかもをぶつけてしまっていいわけではなかったと、深く反省しています。
今は娘の意思を尊重し、遠くから見守ることしかできません。いつかまた向き合える日が来るとすれば、その時は娘の心に寄り添い、一番の味方でありたいと願っています。
【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。