誰もが予想しなかった反応
社員ですら気軽に話しかけられない社長に、なんということを……。
私は思わず青ざめました。
ところが、次の瞬間に起きたのは予想外の光景でした。
あの厳格な社長が、まるで子どものように顔をほころばせて、
「勘弁してくださいよ、先輩。最近飲み会続きで体重も増えちゃって」
と苦笑いしているではありませんか。
その光景は、普段の厳格な社長からは想像もできないものでした。
明かされた驚きの正体
あとから聞いた話なのですが、実はDさんは、会社の創業メンバーのひとり。
今の会社の礎を築いた人だったのです。
新入社員だった頃の社長を指導して、一人前に育て上げた教育係でもあったそうです。
結婚を機に退職し、子育てが落ち着いた今、「暇だから」と素性を隠してパートに応募したのだとか。
廊下で「ケンちゃん、ネクタイが曲がってるわよ」と叱られ、「すみません」と素直に直す社長の姿は、私たちの知る「怖いボス」とは別人のようで、なんとも微笑ましいものでした。
肩書きの奥にあるもの
今の会社があるのは、Dさんのような先輩たちが築いた土台があってこそ。
どんなに偉くなっても、頭の上がらない相手がいるのだと実感しました。
Dさんが来てから、社長の雰囲気もどこか丸くなった気がします。
目の前の人の肩書きだけで判断せず、その背景にある積み重ねに敬意を持つ大切さを、改めて考えさせられ、学ぶことの多い出来事でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。