慌てて戻ると、お茶の入ったピッチャーが、今日のメインである焼きそばの上に倒れています。
中のお茶がすべてこぼれて、焼きそばは水浸し。
その横で、椅子の上に立った息子が気まずそうに笑っています。
一瞬、「危ない!」と心臓が止まりそうになりましたが、どうやら怪我はない様子。ですが、次の瞬間に襲ってきたのは、せっかく作った夕食が台無しになった絶望感でした。
言葉を失った私に、娘が状況を説明。
「Bちゃん(弟の名前)が、風船を上にあげようと手を伸ばしたら、お茶に当たって倒れたの」
どうやら息子は、食卓の上に飛んできた風船を追いかけて、椅子によじ登ったうえ、この事態を引き起こしたようでした。
「Bちゃ~ん!?」
私がそう言うと、息子は「やばい」という顔に。
娘の大人な一言
息子は大人しく叱られていましたが、今日のメインがなくなった私の怒りは収まりません。
ついグチグチと叱り続ける私。
そんなとき、娘が突然こう言ったのです。
「ママ、Bちゃんは赤ちゃんみたいなものでしょう? 赤ちゃんってわざとじゃないけど、いっぱいこぼすよ。『Bちゃんはまだまだ赤ちゃん』って思えば、そんなに腹も立たないよ」
娘はさらに、「怒る時間がもったいなくない?」と続けました。
「叱る」のではなく、感情に任せて「怒って」いた自分の姿を指摘されたようで、私もつい納得。
それと同時に娘の達観したものの見方に、感心したのです。
「そうだね。怪我がなかったのが一番だよね」と私が深呼吸すると、姉の助太刀で怒りから逃れられた息子は、「ねぇね大好き!」とにっこり。思わず私も笑ってしまったのでした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Junko.A
子育てに奮闘しながら、フリーランスのライターとして活躍中。地方移住や結婚、スナックの仕事、そして3人の子育てと、さまざまな経験を通じて得た知見をライティングに活かしている。文章を書くことがもともと好きで、3人目の子どもを出産後に、ライターの仕事をスタート。自身の体験談や家族、ママ友からのエピソードを元に、姑に関するテーマを得意としている。また、フリーランスを目指す方へ向けた情報ブログを運営中。