先生の言葉が胸に……
個人面談で、最後の方に担任の先生がぽつりと言ったのです。
「〇〇さん、本当にがんばり屋さんで。周りをよく見てくれてて。家では言えてるかな? たまにはわがままも聞いてあげてくださいね」
その言葉が、胸にチクリと刺さりました。
「お姉ちゃん」という役割を、私が押し付けていたのではないか、と。
コンビニ前での小さな反抗
そんなある日。公園帰りのコンビニ前でのこと。
いつもなら弟が先にアイスを選ぶ。それが暗黙のルールでした。ところが、その日娘が突然言ったのです。
「今日は私が先に選びたい」
ハッキリとした口調に、私も弟も固まります。
「えー! 僕が先!」弟が抗議し、いつもなら娘はここで引くのですが、今日は違いました。
「やだ!」
バッサリ。娘の声に迷いはなかったのです。
弟は怒って娘を叩こうとする。でも私は、弟の手を優しく止めて言いました。
「今日はお姉ちゃんの番。これからは順番に決めようね」
娘は少し驚いた顔をしてから、少し表情を緩めゆっくりとアイスケースの前に立ちました。じっくり選んで、お気に入りのいちごアイスを手に取る。その横顔は、ちょっと誇らしげでした。
レジを済ませて外に出ると、娘は嬉しそうにアイスを舐めています。弟はまだ不満そうだけれど、「次は自分の番」と納得したのか、切り替えて自分のアイスを食べ始めました。そんな二人の姿を見て、これでいいんだ、と心から思えたのです。
守りたかったもの
私が守りたかったのは、「いいお姉ちゃん」じゃない。「普通にわがままも言える子ども」としての娘なんだ。
そう気づいた瞬間だったように感じます。
【体験者:40代・主婦・女性、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。