親子だからこそ、些細なことで衝突してしまう時期ってありますよね。特に思春期の頃、ファッションやメイクを巡って親と喧嘩をした経験がある方もいるのではないでしょうか。今回は、筆者の友人が父親とのエピソードを聞かせてくれました。
スッピンの私に向けられた視線
ある週末、仕事が忙しく疲労が溜まっていた私は、ほぼスッピンに眼鏡、適当な服で父に会いに行きました。
すると、ぼんやりしていた父の目が、そんな私を見た瞬間にくしゃっと細まったのです。
「……お、いい顔してるな」
名前こそ出てこなかったものの、私を見つめるその表情は明らかに安心していました。
父にとっての娘は、濃いメイクで武装した私ではなく、そばかすが見える“そのままの私”だったのです。
父が愛した「そのままの私」
「お父さん、私だよ」と手を握ると、握り返してくれた手は温かいものでした。
父にとっての「可愛い娘」は、素顔の私。
もう昔のように「メイクを落とせ」と怒られることはありませんが、次からはスッピンで会いに行こうと思います。
それが、父にとって一番分かりやすい「私」ですし、飾らない自分でいることが、今の父にできる一番の親孝行だからです。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。