これは筆者である私自身の体験です。友人との飲み会帰り、終電で帰れるはずが寝過ごして終点へ。所持金は約1,000円、寒い夜道を歩くしかないと覚悟した瞬間、タクシー運転手さんの思いがけない優しさに救われ、心まで温かくなった出来事です。 

終電、逃した夜……。

飲み会の帰り、終電に乗れた安心感でついウトウトしてしまい、気づいたときには降りるはずの駅を通り過ぎ、電車は終点に到着していました。時計を見ると、当然ながらもう終電は終了。駅のホームは静まり返っていて、頭の中だけが一気に騒がしくなりました。

タクシーも見当たらない、絶望の夜道

改札を出ると夜風が想像以上に冷たくて、酔いも一気に引いていきました。家までは遠い。タクシーを探そうとロータリーを見渡しましたが、この時間、車の影は一台もありません。さらに、財布の中は飲み会でほぼ空っぽ。残っていたのは、だいたい1,000円程度でした。

「歩くしかないけれど、この寒さと暗さ、最後まで辿り着けるかな……」
心細さに押しつぶされそうになりながら、暗い夜道を一人、トボトボと歩き始めました。

タクシーが止まり、思いがけない一言

しばらく歩いたとき、反対車線を一台の空車タクシーが走り去っていくのが見えました。
「あ、タクシーだ!」と思いましたが、反対側。追いかける元気も、呼び止める勇気も出ず、「行っちゃった」と諦めて背中を見送りました。
ところが、そのタクシーが少し先でブレーキランプを光らせ、ゆっくりとUターンをしてこちらへ戻ってきたのです。