「母親は片付けができない人だ」と話す筆者の知人。特に父親に先立たれた後は、家が遺品で溢れかえってしまったといいます。しかし母親にある声掛けをしたことで、片付けを始めさせることに成功。当時の話を聞いてきました。

母に提案したこと

母の気持ちは、娘の私でも理解できます。大切な夫を失ったのに、思い出の品まで消えてしまうのは悲しいことです。ただ、物が散乱した家で一人暮らしをさせるのは足元が危ないですし、もしもの時の避難の妨げになるなど、安全面でのリスクもあります。

そんな母を放っておけなかった私は、一つの段ボールを手にして実家へ行きました。そしてこう声を掛けたのです。

「お父さんのものは、この箱に入る分だけきれいに残そう。その代わり、本当に大切なものだけが入っている思い出ボックスにしようね。私も一緒に手伝うから」

私は母に思い出ボックスを作ることを提案。入りきらなかったものは、写真に残してアルバムを作ろうと伝えました。すると母は「いつまでも立ち止まっていたままではダメだね。背中を押してくれてありがとう」と涙ながらに頷いてくれました。

「一緒にやろう」と声を掛けて

思い出の品は、多くの人にとって捨てられないものの一つ。ただ、いつか処分しなくてはいけない時が来るのも事実です。

母の場合は「捨てる」という言葉を封印し、「一緒に整理しよう」というスタンスで話をするのが効果的でした。頭ごなしに「物が多すぎるから捨てて!」などと言うのは逆効果でしょう。大切なのは「捨てること」ではなく「何を大切に残すか」を一緒に考えること。まずは相手の気持ちに寄り添って話をすることが、何よりも大切だと気付きました。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。