いらなくなった子ども服、あなたならどうしますか。通りかかった家の前で見つけた「ご自由にお取りください」。その後に続いた思いがけない光景に、筆者が心を温められた体験談です。

帰り道に見つけた、思いがけない変化

用事を済ませ、少し疲れた足取りで同じ道を戻っていました。先ほどの家が近づくにつれ、なんとなく視線がレジャーシートの方へ向きます。

すると――
そこにあったはずの女の子用のカバンが、姿を消していました。

「誰かに届いたんだな」そんな思いが胸に広がった直後、シートの端で風に揺れるものが目に留まりました。

よく見ると紙が一枚、そっと置かれているのです。ノートを切ったような小さな紙で、何かが書かれているようでした。

見知らぬ誰かから返ってきた、小さな思い

そこには、鉛筆で「たいせつに使います。ありがとう」とありました。

どこか幼さの残る字、おそらく持ち帰った子どもが書いたのでしょう。

直接会うことはないのに、思いだけが静かに行き交っている。その温かな気配に触れたようで、帰り道の足取りが軽くなりました。

ふとした場所に生まれる、知らない人同士のやり取り。あの一枚の紙切れを思い出すたび、世界にはまだやさしさが息づいていると感じられたできごとでした。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。